播州織総合素材展2017

播州織ジョブフェア

播州織コレクション2017

開催期間

2017年2月21日(火)/22日(水)

日程・スケジュール詳細

開催場所

TEPIA 3F エキシビションホール

会場・アクセス詳細

主催

(公財)北播磨地場産業開発機構

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播州織ジョブフェア

金田 菜々希(かなだ ななき)
金田 菜々希(かなだ ななき)
■勤務先:
オザワ繊維株式会社
■出身地:
愛知県
■出身校:
神戸芸術工科大学デザイン学科
ファッションデザイン学科
■仕事内容:
テキスタイルデザイン、ホームページ運営

きないことを失敗から学べるのは、産地ならでは。 生地づくりの枠を飛び出し、夢は「産地デザイナー」!
①西脇市へ移住した理由

学生時代にテキスタイルを学んでいたので、産元という仕事に興味がありました。学生時代の産学連携プロジェクト(*)でも西脇市には関わりがあったんですが、小さな失敗も情熱を燃やして改良していこうという力がすごくある町だと感じて……。「私も西脇市で産元に入りたい!」と思ったんです。

*西脇商工会議所と神戸芸術工科大学との産学連携プロジェクト「n+able(ネイブル)」 播州織に伝わる高品質な綿素材と、神戸芸術工科大学のデザイナーとのコラボレーションによる商品開発と情報発信。「地域産業の活性化・人材育成(実践の場を学ぶチャンス)・町の活性化」につながるオリジナルブランドの発信を目的とする事業

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

すべてが新鮮です。町全体で取組む様子を見ていると、自分も一緒に一からつくっている気持ちになれます。播州織の知識がまだ少ないので、無理なことを言ってみんなを困らせることもありますが、未経験で未熟だからこそ新しいものが生まれる……そこを私には求められていると思っているんです。いずれは生地のデザインだけじゃなく、産地をデザインしたい。「産地デザイナー」になって産地を元気にしたいです。

③播州織の魅力、産地の魅力

生地の新色を「刈りたての稲穂の色にして!」と伝えたら、ちょっと困りながらもピッタリの色で試織してくださいました。突拍子もない提案も「職人魂がうずくわ!」と楽しんでつくってくださるんです。人と人が触れ合いながら、ものをつくっていることを実感しました。話し合う工程にストーリーがあり、ブランドになる。そんな生地にこそ価値が生まれると思うので、この姿勢は変えずに企画をしていきたい。周りの人と話し合い、失敗作から「できないこと」も学んでいきたい。新しいものづくりをカタチにすることで、産地へお返しができたらいいなと思っています。

④西脇市に住んでみて感じること

住み心地がいい。自然に恵まれている。それに人懐っこい! 親戚の人たちの中にいるみたいで、一人で来たけど一人じゃない感じです。また、叱るよりアドバイスをくださるので、人を育てる土壌ができてるんだと感じます。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

新しいものを採り入れようとする力にあふれ、それでいて一本の筋は通す。現場を見せてもらいながら企画ができるので、新しいアイデアも生まれやすい環境です。これは、産地に入ってみて初めてわかることだと思います。日常を飛び出して新しいことを始めようと思う人たちは、迷っているなら来てほしい。みんな親戚のように温かく迎えてくれますから、心配しないで!

金田 菜々希(かなだ ななき) 仕事風景
村田 裕樹(むらた ゆうき)
村田 裕樹(むらた ゆうき)
■勤務先:
島田製織株式会社 hatsutoki(ハツトキ)事業部
■出身地:
東京都
■出身校:
文化服装学院
■仕事内容:
hatsutoki製品の企画営業/デザイン・ディレクション・マーチャンダイジング・販売までトータルに担当

産地とは、新しい可能性が生まれる場所。 循環のひとつになる、それがものづくり。
①西脇市へ移住した理由

もともと産地に行くという選択肢はありませんでした。でもそれに気づいた時、可能性を感じられるかもしれないと思ったんです。そんな時、産地の生地に出会って新鮮な素材の良さを確信しました。検索でたどりついたのがhatsutoki(ハツトキ)で、社長に「専任させてほしい」と直談判して今があります。産地の中で服をデザインするということが、唯一僕にとっての可能性の発見だったんです。

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

hatsutoki(ハツトキ)に関わる業務全般に携わっています。アートディレクションからテキスタイルデザイン、製品デザイン、マーチャンダイジングに営業販売まで。全体を考えながら職人のみなさんとコミュニケーションをとる方が、いいデザインが生まれると思っています。難しいのは、素材のブランディング。「見たことのないものが生まれる可能性がある!」というパワーを発する生地。インスピレーションをわかせるだけの余白を残した生地。そんなhatsutoki(ハツトキ)らしい可能性を見せる生地をつくるのは、おもしろいですが難しいですね。

③播州織の魅力、産地の魅力

工場に入って職人さんと話すことで、日々新しい発見があります。布のつくられ方がわかると、工程や調整を変化させたら見え方がどう変わるかがわかるようになるので、新しい発想が生まれて今までなかったものがつくれるようになります。また、僕の方からは「ボーダーを細くして」とか「ジグザグを薄くしたい」とか工場でお願いするんですが、職人さんはそんな使い手の感覚をおもしろがってくれるんです。生地のつくり手と使い手が人と人として刺激し合って、いいものが生まれる循環ができる――。現場にいかないとわからないことばかりですが、これって一貫生産の産地ならではの良さだと思います。

④西脇市に住んでみて感じること

今は古民家住まいです。まわりを気にせず、夜遅くまでものづくりに没頭できるし、周りの人はやさしいし、居心地がいいですね。
西脇は水が豊かな町。染色もこの水から始まるので、水が循環している中のひとつに生地づくりが入っているイメージです。生地が自然の産物に思えてくるんですよ。このみずみずしさをhatsutoki(ハツトキ)のブランドイメージとしてデザインに落とし込めないかと日々思っています。西脇の自然豊かな産地の中に暮らすことで、そういう感覚が生まれました。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

田舎の人は遊びを創り出して遊びますよね。自分の頭で考えて、手を動かしてものを生みだす感覚に近いかな。だから、この土地ならではの楽しみを自分で見つけ、ものづくりをしたい人に向いている所だと思います。ここの循環の一つになって、ものづくりができる人ですね。
仕事は創り出すものだと思うんです。だから、この先どんな仕事をすべきかを、産地のみんなと一緒に考えていく。そういう感覚で自分の居場所を見つけられたら、いい仕事ができる場所だと思います。自分の居場所を「ここ」にするのは、自分ですから。

村田 裕樹(むらた ゆうき) 仕事風景
野上 季衣(のがみ きえ)
野上 季衣(のがみきえ)
■勤務先:
島田製織株式会社 hatsutoki(ハツトキ)事業部
■出身地:
山口県
■出身校:
京都造形芸術大学大学院芸術表現専攻修士課程
■仕事内容:
hatsutoki製品の生産管理(縫製・販売)・企画アシスタント

「やりたいことがある」「生地からつくりたい」 学ぶことから始めたい人、今がチャンスです!
①西脇市へ移住した理由

山口県に生まれて、大学は京都で学び、東京でニット会社に就職。3年間百貨店で販売をした後、山形にある本社の企画室へ。関西に転職したいと思っていた矢先、hatsutoki(ハツトキ)の求人を知りました。仕事が少人数。ものづくりのベースがある。職場の環境として、ものをつくりやすいと思ったんです。でも、いちばんのポイントは、hatsutoki(ハツトキ)のデザイナーである村田とのやりとり。人柄の良さにひかれて西脇への移住を決めました。

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

私の主な仕事は製品の生産管理。縫製工場とのやりとりが中心です。私は、つくりあげてゆく過程が好きなんです。現場で一緒に働いている人たちと、コミュニケーションをとりながら一緒に取組めるのは楽しいです。いいものができあがれば、そこまでに費やした時間もいい時間だったと思えます。
でも同時に厳しいことだらけでもあります。縫製も販売も、商品として完成させるために何が必要なのか、わからないことだらけです。製品にするということは、お客様に届けること。タグだって一つ一つ考えないといけません。周りに助けてもらいながら頑張っています。

③播州織の魅力、産地の魅力

山形ではニット工場に勤めていました。ニットの場合、糸から生地ができ上がるまでの工程が、一つの工場で完結されていました。播州織の場合は工程が分業化され、生地をつくるまでにたくさんの人が関わる点におもしろさと可能性を感じました。産地の中にいる魅力は、生地からこだわってつくれること。イメージやデザインができた上で、素材も生地も色も、風合いまでつくれるなんて、小さなブランドには考えられないことです。昔からあるいいものを、つくり手が直接見る機会があり、それを活かす力のある人がいる。そんな環境の中で、デザイナーが生地と関われるから、服のクオリティもあがっていくんだと思います。生地の力を借りて、いい製品を「つくらせてもらっている」感じです。

④西脇市に住んでみて感じること

西脇の人って、外部から来た人を受け入れ慣れていますよね。みなさん本当にやさしくて「以前から友だちでしたか?」って思うくらい! 働きやすくて暮らしやすい町です。小学生とお年寄りばかりかと想像していましたが、若い人もいっぱいいました(笑)! いろんなことを学べるいい産地だと思っています。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

やりたいことがあるなら、ぜひ行動してください。何もないところから何が生みだせるのか。それを楽しむのも自分次第です。今、西脇市は町をあげてデザイナーの育成に取組んでいます。やりたいことがあって、しかも生地からつくりたいという人は、助けてもらえるラッキーな時ですから、ぜひチャンスを逃さないで!

野上 季衣(のがみきえ) 仕事風景
龍山 千里(たつやま ちさと)
龍山 千里(たつやま ちさと)
■勤務先:
島田製織株式会社 hatsutoki(ハツトキ)事業部
■出身地:
神奈川県
■出身校:
慶應義塾大学環境情報学部/川島テキスタイルスクール
■仕事内容:
オリジナルブランド「hatsutoki」製品の生産管理・企画アシスタント

現場に身を置くと、端切れすら愛おしい! もっともっと、産地で豊かさを感じたい。
①西脇市へ移住した理由

ちょうどアンテナを張っていた時期に、テキスタイルデザイナーの書き込みを見つけたのがきっかけです。その時、初めて西脇市という町も知りました。
もともと服づくりそのものよりも、原料を知るのが好きでした。生地を実際につくれる現場に近い所で、少ない人数で働ける方がいろんな勉強ができそうだと思いました。
生地づくりから服づくりまで一貫してものづくりができるのはいいなと思って。服地って生活の中に存在する布の中でも種類が豊富なので、携わっているといつも新鮮に感じます。

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

私はhatsutoki(ハツトキ)の、糸の注文から生地にするまでを担当しています。デザイナーの村田さんと話し合い、欲しい生地の企画を詰めてゆきます。
製織の現場にいちばん近いところです。
できあがる生地に対しては、とにかく愛着が深いです。端切れも捨てられないほど。現場の方々との数多くのやりとりを経て、ようやく手もとに来るものなので大切に思えます。

③播州織の魅力、産地の魅力

生地を生産する上で、各工程の人と顔と顔を合わせて話せるのが魅力。
糸から生地ができあがる工程って、ゼロに近いところから現場を見られるということなので、とてもおもしろいです。産地でないとできない経験ですから、大切にしたいと思います。播州織が生き残ってゆくために、産地の特性は活かしつついろんなチャレンジをしてみたいです。

④西脇市に住んでみて感じること

昔から地場産業や東京以外で働いている人に興味があり、学生時代はそういう人たちを対象とした研究を行っていました。いつのまにか今の仕事や、西脇市につながっていましたね。この地ならではの仕事で生活をするのは、いろんな人と深く関わることができるので、毎日充実して、とても楽しいです!

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

生産の現場を目の当たりにすると、ありふれた身の回りの生地も新鮮な視点で捉えられるようになります。「産地で自分は何がしたいのか」。これさえ持っていれば、ここはとてもおもしろくなる場所です。いろんな背景を持っている人が集まって来ている地域なので、何か新しい取組みができると思います。

村田 裕樹(むらた ゆうき) 仕事風景
松原 茉由(まつばら まゆ)
松原 茉由(まつばら まゆ)
■勤務先:
大化産業株式会社
■出身地:
兵庫県
■出身校:
兵庫県立多可高校
■仕事内容:
テキスタイルデザイン

播州織は、私の一部。受け継ぎ残し、次代につないでゆける人材になりたい。
①西脇市へ移住した理由

実家が西脇でジャガード織の機屋を営んでいます。小さい頃から工場が遊び場でした。現場にいちばん近い所で過ごしてきたんです。社会人になってから「親の仕事」じゃなく、自分が育ってきたもの、必要なもの、大事なものとして播州織を考えるようになりました。
そんな時「産地として機屋を残そう、デザイナーとして頑張ろう」と社長に声をかけてもらい入社しました。

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

取引先から届くデザイン図案をもとに、生地にするための組織図をつくっています。写真や絵をモチーフに「こんなイメージで図案化してほしい」「○○の雰囲気のような生地にしてほしい」といった指示をいただくことも多く、イメージの共有が難しいんですが、先方のイメージと提案した色柄がぴったりと合った時や、気に入っていただけた時は本当にうれしいです。まだまだ知識不足なので、他人の行動や思い、違う考えも「おもしろい」と受け止めヒントにしてゆきたい。そこから自分が成長できて、会社への貢献にもつながると思っています。

③播州織の魅力、産地の魅力

今、改めて播州織って「すごくいいんだ!」と実感しています。触り心地がまったく違うことに気が付きました。手に触れると緊張と感動を覚えるくらい、播州織は私にとって上質な生地です。一貫生産の流れの中にいると、生地が生まれる背景やストーリーがよくわかります。データが糸になり、生地になって服になり、どこかの人の手に渡る。この過程が私は好きです。産地は私が育ってきた原点、私の一部です。播州織は私を育ててくれたものです。心から感謝しています。

④西脇市に住んでみて感じること

実は私、産元という存在も知らなかったんです。播州織産地ってすごく広くて、いろんな人がいることに驚きました。産地という目で地元・西脇を見た時、私は今後どうしたらいいのか、どうしていきたいのかがだんだん浮かび上がって来ました。
播州織に残って欲しいんです! 今の技術の継承が大切だということもわかりました。染め、織りだけでなく縞割や組織図の作成など、播州織を本来支えているところももっと太くしないといけないと感じます。だから私も播州織に貢献するために、技術をできるだけ身につけて受け継ぎ残し、次代につないでゆける人材になりたいんです。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

西脇では必ず挨拶が返ってきます。人が温かくて自然も豊か。交通の便も悪くないので暮らしやすい場所だと思います。現場では、技術を受け継ぎたい人も求めています。指導してくれる職人さんたちは、教える気満々です! ぜひ播州織を「次世代へつなごう」と思ってくれる人に、足を運んでほしいと思っています。

松原 茉由(まつばら まゆ) 仕事風景
杉本 真奈(すぎもと まな)
杉本 真奈(すぎもと まな)
■勤務先:
内外織物株式会社
■出身地:
兵庫県
■出身校:
神戸芸術工科大学デザイン学科
■仕事内容:
生産サポート~織出しチェック、指図入力 他

現場に触れて知った、播州織の深さ。 織りや組織に関わる数の多さが、成長につながってゆく。
①西脇市へ移住した理由

西脇生まれの西脇育ちです。播州織工房館(*)でアルバイトをする機会があり、その時知り合った方に「ストールのデザインをして、販売してみませんか?」と声をかけていただきました。催事の現場に立った時、播州織が案外知られていないことに気が付いたんです。あたりまえだと思っていたことも、他のテキスタイルにはない良さだと知ることもできました。この時の経験がきっかけで、播州織に関わる企業に入りたいと思うようになり今があります。

*播州織工房館:播州織のシャツやストール、オリジナルグッズなどを販売するギャラリー&ショップ。神戸芸術工科大学との産学連携で生まれたブランド「n+ble」も並ぶ。

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

「織り出し」といって、機屋さんが織った最初の生地に間違いがないかチェックする仕事をしています。色の間違い、糸の通し違い、組織の間違いなどを見過ごすと、設計とは全く違うものができるのでとても大切な仕事です。ここにいると、いろいろな生地を見て触れられることがとても楽しいと感じています。

③播州織の魅力、産地の魅力

まず、安心感です。播州織は糸から染める先染め織物なので、他の生地のように色落ちの心配がほとんど無く、安心して使えます。そして、品質の良さ。染色も製織もサイジングも工場が近くに集まっているので、すぐに対応していただけます。間違いのないものが早く仕上るのは産地ならではの強みです。お客様の信頼につながることですから大切なことだと思います。

④西脇市に住んでみて感じること

地元にいても知らないことばかりです。そもそも産地という感覚がありませんでした。大学で産学連携プロジェクト(*)に参加した時、初めて地元が「産地」なんだと実感しました。当時は「先染め織物=播州織」と思っていただけ。現場に入ってみたら、いろんな工程があることがわかりました。複雑な柄がつくれることなど、播州織の深さも知りました。現場に触れてみて初めてわかることばかりだったんです。

*西脇商工会議所と神戸芸術工科大学との産学連携プロジェクト「n+able(ネイブル)」
播州織に伝わる高品質な綿素材と、神戸芸術工科大学のデザイナーとのコラボレーションによる商品開発と情報発信。「地域産業の活性化・人材育成(実践の場を学ぶチャンス)・町の活性化」につながるオリジナルブランドの発信を目的とする事業

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

西脇は「人がいい」です。わからないことも丁寧に教えてもらえるし、産地見学も不思議なくらいオープンです。景色がいいし、おいしいものが多くてゆったり過ごせます。神戸や大阪へも出やすくて、住み心地もいいですよ。 いいものをつくるには、どれだけの組織や織を見てきたかが大切。ここはそれが経験できる場所です。私もいずれは、自社のテキスタイルブランド「nunono(ヌノノ)」のオリジナル生地をつくりたい。今の仕事はすべての基礎としてつながっているからこそ、今後の目標に生きてくると信じて頑張っています。

杉本 真奈(すぎもと まな) 仕事風景
鬼塚 創(おにづか そう)
鬼塚 創(おにづか そう)
■勤務先:
株式会社播
■出身地:
東京都
■出身校:
文化ファッション大学院大学(BFGU)
■仕事内容:
生産管理/ストールや製品サンプルのデザイン・製作

①西脇市へ移住した理由

最初は東京で就職先を探していたんです。「自分でブランドを立ち上げたい」「世の中に必要とされるようなモノをつくりたい」という目標をかなえるのは、アパレルにデザイナーとして就職することだと思っていましたから。でも実は、それが最善の選択なのかどうかは疑問だったんです。
そんな時「播州織産地にデザイナーを呼ぼう」と西脇市長がBFGUを訪問され、出会う機会をいただきました。これからの時代に必要なのは「テキスタイルの産地に入ることでできるものづくり」だということは漠然と感じていましたが、播州織を使ったブランド「hatsutoki(ハツトキ)」を知ることでいっそう関心が高まりました。やりたいことは東京にいても産地にいても同じ。それなら行ってみようと決心しました。

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

今の仕事の中心は「受け渡し」と呼ばれる生産管理です。産地で生地ができあがるまでの基本的な流れを知ることができるので、自分にとっても大切な仕事です。直接ものづくりに携わっているのは、ストールや製品サンプルのデザイン・製作。自分で生地から製品まで提案するので織りの現場に行くことが多いんですが、最近職人さんに名前を覚えてもらえるようになりました。実際に織機を前にして、何ができて何ができないかを知ることができるのは産地ならではの魅力です。西脇に来て良かったと思います。

③播州織の魅力、産地の魅力

播州織の基本は薄手の綿織物です。糸や素材の選び方で表情が変わるため、「らしさ」にとらわれない自由度の高さが魅力です。そんな様々な要望に応えられるだけの技術力の高さで、何でもつくることができるのが播州織なんです。

④西脇市に住んでみて感じること

まず、ごはんが安くておいしい。住まいは空き家を貸してもらって一軒家暮らしです。通勤は車を利用しています。西脇市から家賃補助も出ているので、いい方だと思います。東京にいた頃のように美術館に行けないのが不便ですが、ネットで情報は入るので、特に不自由はないです。ファッション関係の方々中心に地域での交流も広がりつつあります。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

今、西脇には播州織の魅力に惹かれ、新しい何かを始めようという人が集まってきています。産地にはもともとデザイナーは存在していません。指導を仰ぐ存在がいないので、産地のデザイナーとして何をしたらいいのかを自分で考えられること、「私はこういうことができます」という強みを言えることが必要です。 僕が西脇で就職したのは、自分でブランドを立ち上げて続けていくことが目的だったから。そのためには、産地に入ることが一番の近道だと思ったからです。はっきりとした目的を持って西脇に来るなら、とっても良い選択だと思います。

(参考資料「センケンjob新卒」)

鬼塚 創(おにづか そう) 仕事風景
江成 遥(えなり はるか)
江成 遥(えなり はるか)
■勤務先:
丸和商事株式会社
■出身地:
神奈川県
■出身校:
神戸芸術工科大学大学院総合デザインコース
■仕事内容:
生産サポート

染める・織る・加工する、すべての現場とひとつになれる。私に無限の可能性を与えてくれるもの、それが播州織!!
①西脇市へ移住した理由

西脇市と大学の産学連携プロジェクト(*)や卒業制作でお世話になったのがきっかけです。様々な色の糸が生地や柄になっていく様子に魅力を感じました。ひと足先に西脇市に移った先輩や工場の方々と話す中で、町としての雰囲気にもいい印象を持てていたことも決め手の一つでした。

*西脇商工会議所と神戸芸術工科大学との産学連携プロジェクト「n+able(ネイブル)」
播州織に伝わる高品質な綿素材と、神戸芸術工科大学のデザイナーとのコラボレーションによる商品開発と情報発信。「地域産業の活性化・人材育成(実践の場を学ぶチャンス)・町の活性化」につながるオリジナルブランドの発信を目的とする事業

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

今はいろいろな仕事に携わっていますが、その中の一つに織出見本のチェックがあります。生地がデザインの指示通りに織れているか、データと照らし合わせながら確認します。糸を通す順番が間違っていないか、色の順番に誤りがないか、糸の緩みがないかなどチェックポイントがたくさんあるんです。ミスを見逃すと大勢の人に迷惑がかかるため、責任が大きい仕事です。

③播州織の魅力、産地の魅力

分業体制なので産元・機屋・サイジング・染工場の距離が近く、産地全体でものづくりに取組んでいると感じます。各工場と顔を合わせて相談できるので、それぞれの特徴を活かした仕事ができるのが魅力です。
今までは、完成された生地を見て服を作っていましたが、今ではどうすればその完成された魅力的な生地がつくれるのか、柄は? 糸は? 加工は? …と知りたいことが次々出て来て、終わりがないのが楽しいです。
糸×糸が生地や柄を生みだす様子を見るにつけ、知れば知るほど播州織の可能性は無限だと感じています。

④西脇市に住んでみて感じること

日本の産地は衰退していると言われていますが、中に入ってみると、自分たちで産地を盛り立てようという前向きなパワーを感じます。もちろん厳しいこともたくさんありますが、自社のためだけではなく、みんなのために協力して頑張る体験は、ここならではじゃないかと思います。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

知人のいない田舎に一人で住むのは不安に思う人も多いと思いますが、先に来ている移住者や同じ志を持った仲間もいるので大丈夫です。きっと、迷う暇もないほど楽しく忙しい生活を送れるでしょう。「産地を盛り上げよう」「産地をもっと知りたい」という人にはとても楽しい所です。
何がやってきても勉強だと思って、より良い物をつくることを意識し、何事にも興味をもって取組んでください。

江成 遥(えなり はるか) 仕事風景
宮崎 紗千子(みやざき さちこ)
宮崎 紗千子(みやざき さちこ)
■勤務先:
株式会社丸萬
■出身地:
兵庫県
■出身校:
倉敷市立短期大学服飾美術学科
■仕事内容:
営業アシスタント・「ママージュ」制作チーム

地元出身だからこそ気づいた、播州織の魅力。 知識も人脈も想いも、産地でこそ育ってゆく。
①西脇市へ移住した理由

もともと、ファッション業界の企画や制作に興味がありました。播州織の地元・多可育ちなので、織物まつり(*)で開かれる播州織ファッションショーなど、身近なところで存在を感じることが多かったんです。播州織ってこんなことができるのか、あんな生地もつくられているのかって、常に印象に残っていました。
私自身も高校生活での服飾との関わりを通じて、播州織に関わる仕事に就きたい気持ちが高まって……。進学で西脇を出たことで、他の繊維産地も魅力的でしたが、地元で仕事をしたいと思うようになりこちらに就職しました。

*播州織の振興や日本のへそ「西脇市」のPRのための夏祭り。地元高校生による播州織ファッションショーや花火大会など様々なイベントが開催される

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

今は営業アシスタントとしてのデリバリー業務と、オリジナル小物ブランド「ママージュ」に関わっています。割烹着やエプロン、帽子などの小物を自社の生地で制作しているんですが、主に生地カットに携わっています。
スワッチづくりなどを通して、生地への見方も変わってきました。素材によって違った表現ができることの再発見ができたのがとても楽しいです。楽しいことだけでなく社会の厳しさなど、いろんなことに向き合う中で、自分が成長できているかどうか日々確認しています。

③播州織の魅力、産地の魅力

播州織の生地は、とにかく色がきれい! 表現の自由度はかなり高いと思います。入社して間もない頃、先輩方が見ていた海外ブランドのサイトで、弊社の生地が製品になってランウェイに登場していたんです。実際に出荷作業をした先輩方が「大変だったね」と嬉しそうに話されている様子を見た時、ただ生地をつくって売っているだけじゃないこと、こんな田舎でできた生地が世界へ発信されていることに感激して……。結末の壮大さに改めて播州織の魅力を見つけた気がしました。

④西脇市に住んでみて感じること

通学途中にあった工場が機屋だったんだ、加工場だったんだとか、友だちの家が実は機屋さんだったんだとか……。「ここは産地だったんだ!」って、働き始めてようやく気づきました。それは播州織製品に対しても同じこと。私は今、ママージュで生地から製品にする過程に関わっていますが、この地域や地元の人々に寄り添う製品を作りたいと思っています。まずは地元に浸透させたいんです。手軽に手に取ってもらえるものを作り、地元だからこそ気づかない播州織の魅力を、もっと浸透させてゆきたいと思っています。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

西脇でデザイナーとして起業したい人がもっと増えたら、若い人たちで産地を盛り上げていこうという流れが強くなるのではないかと思っています。一度足を運んで、いろいろなことを自分の目で発見し、仕事をしてはどうでしょうか? 「産地」に入ってみたいと思っている人は、ぜひ播州織産地の西脇へ! まずは知識や人脈を身に着け、自分の世界をここから広げてください。

宮崎 紗千子(みやざき さちこ) 仕事風景
國吉 美理(くによし みり)
國吉 美理(くによし みり)
■勤務先:
株式会社丸萬
■出身地:
岡山県
■出身校:
倉敷市立短期大学服飾美術学科
■仕事内容:
*「POLS(ポルス)」の広報・製品管理・催事販売・オンラインストアのお客様対応
*海外向け生地の企画開発アシスタント

色合い、風合い、技術の高さに感動! 人との出会いから生まれる可能性の広がりが魅力!
①西脇市へ移住した理由

倉敷市で帆布ブランド製品の販売をしていたんですが、もともとテキスタイル製品の企画に興味があって、ものづくりの現場に関わりながら企画がしたいと思っていたんです。いろんな産地と一緒になって、テキスタイルの開発に取組める仕事ができたらと考えていた時、ゼミの特別講義でご縁があったデザイナーさんの紹介で今の会社へ入社しました。

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

ひとつの生地でも、いろんな人の手が加わってできているんだと肌で感じられるのは、一貫生産の産地ならでは。おかげで人とのつながりが増えました! 今は、いろんな人との関わりから生まれてくること、すべてが魅力的です。
一方、厳しいことといえば、複雑で繊細な生地づくりの過程でトラブルが起こった時、臨機応変な対応力が求められること。そういった時に、現場ですぐに対応してもらえる所は、産地ならではの強みだと思います。

③播州織の魅力、産地の魅力

まず西脇に来て、色合いや風合いなど先染め織物の技術の高さに感動しました。染めた糸から柄ができることがおもしろい! そして、「人」も魅力的! そもそも人がいないと生地はできません。私自身も、生地を通して日々いろんな経験をさせてもらい、人間をつくってもらっています。
また、ある日、神戸のアパレルショップで、店員さんが私が首に巻いていたストールを見て「梅田の百貨店の展示会で見ました! それで最近、播州織が気になってたんです!」と言われました。私より先にストールが出会っていたんです。播州織ってこういう「引力」がある。まだまだ可能性の広がりを感じます。

④西脇市に住んでみて感じること

倉敷はジーンズの産地ですが、ジーンズを履いてる人は意外と多くないんです。でも、西脇では地元の人が普段でも播州織のストールを首に巻いています。それがとても印象的でした。
産地だからできるテキスタイルの提案をしながら最終製品開発にも関わりたいので、今はつながりや人脈をここでつくっていきたいと思っています。西脇は移住者や地元の若い人がとても元気で活動が活発。みんなで一緒に西脇を盛り上げたいと感じています。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

素材づくりからこだわってものづくりがしたい人には、つくっている人と直接関わりながらものづくりができる産地がおすすめです。加工方法をひとつ変えるだけでも、生地の風合いが違ってくるので、まずは生地のつくられ方を実際に知ることが、デザインを考える上では必要。産地はすぐ現場に行ける上、新しい方法も試せます。微妙な風合いを表現できるのも、現場でやりとりができる産地の強み。常に可能性を探りながら、ものづくりができます。
若いデザイナーも増えています。もうすぐコワーキングスペースも生まれるので、産地の人と協力して純粋にいいものをつくりたいという人にぜひ来てほしいです。

國吉 美理(くによし みり) 仕事風景
川村 香芳理(かわむら かおり)
川村 香芳理(かわむら かおり)
■勤務先:
東播染工株式会社
■出身地:
神戸市
■出身校:
上田安子服飾専門学校ファッションクリエイター学科マスターズコース
■仕事内容:
テキスタイルデザイン・マーケティング・プロモーション など

播州織は、日本の魅力。西脇の地で本気のものづくりに取り組みたい。
①西脇市へ移住した理由

私には、やりたいこと(服の資材である生地の追求)と、やるべきこと(Made in Japanを世界に発信する)がありました。でもそれは、他の産地でも良かったのかもしれません。しかし、私を必要としてくれる人が西脇にいました。これもご縁で、本気でものづくりに取り組む今のパートナーがこの地にいたから、私は今ココにいます。

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

オリジナル生地の企画提案が仕事の中心です。テキスタイルのコンセプトを考えることから、国内外の販路拡大を目指したプロモーション、マーケティングも担当しています。テキスタイルのショールーム会社とタイアップし、生地のネット販売も行っているので見本のオーダーへの対応も行っています。
どう仕上がるのか想像がつかない生地ができあがり、「かっこいい」「かわいい」と思えた瞬間は最高に楽しいです。その一方、組織の中にいる以上は自分たちだけ盛り上がってもだめなので、会社全体に広げてゆく努力は必要です。全社員が一丸となって生地を創り上げること、そしてその生地が世に出る感動を分かち合いたいです。

③播州織の魅力、産地の魅力

西脇に来て以来、すべてが新鮮です。勉強になることも、また今までの経験を生かせる場面も多いので、楽しさとやりがいを存分に感じています。産地が一貫体制である上に、弊社は職人集団の社内一貫体制なので、情報・ネタ・思いに加え、作る人の知識がスピーディ!  ものづくりにどっぷりつかれて幸せです。
播州織は、Made in Japanのクオリティとして認知されている「日本の魅力」だと思います。私の中にある播州織のイメージは、コットンの最高峰。肌なじみ抜群の素材感は、シャツ地は播州織が間違いないというプライドと強みを感じさせます。人生のマストアイテムだと思える生地をつくっていることが、私には大きな魅力です。

④西脇市に住んでみて感じること

西脇には「これぞ原点」というステイタスを感じています。自然がいっぱい。食べ物も空気もおいしい。人が好き。本来あるべき生活があります。気持ちのゆとりを持てる場所なので、本質的なものを考えるものづくりの環境には最適です。
私は一から自分で見ないと気が済まないので、東京でものはつくれません。生地を極めたい、好きなら本質まで知りたい、こだわるなら最初からこだわりたいんです。今は、産地で製品までつくれる時代です。同じものをつくるなら、一から極めようと思っています。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

今、西脇は資材から製品まで、ものづくりをする環境が整いつつあります。そして、私たちのような者を必要としてくれる人が、たくさんいらっしゃいます。可能性と未来がある。そんな場所、ここ以外にありますか?? あとは実際に足を運んで肌で感じてみてください。

川村 香芳理(かわむら かおり) 仕事風景
佐藤 健(さとう たけし)
佐藤 健(さとう たけし)
■勤務先:
岡治織物合資会社
■出身地:
東京都出身
■出身校:
京都市立芸術大学美術学部工芸科染織専攻
■仕事内容:
製織 それに付随する業務全般

産地でつくることは、学ぶこと。 何者かになるより、いいものをつくりたい。
①西脇市へ移住した理由

学生時代、西脇の人に生地をつくってもらった経験があるんです。いろんなことができそうだと当時から思っていました。西脇では「実験」がしたかったんです。今はまだ図案をテキスタイル化するだけで精一杯ですが、何者かに「なりたい」というより「つくりたい」。良いものを作れるようになるのが、当面の目標です。

②現在の仕事で楽しいこと、厳しいこと

今は、切れた糸をつないだり、織機に油を差したり、糸を運んだり生地を整頓したり……。様々な作業を行っています。
ものづくりの全てにおいて、常に楽しいということはありませんが、一つ印象に残っていることがあります。出向先の別の工場で生地を運ぶ作業をしていた際のことです。慣れない作業の連続で手が擦り切れはじめた時、ふと自分が運んでいるこの生地が何になるのか気になりました。見ると出荷先は刑務所。「うわーこの状況めちゃくちゃおもしろいなー」と感じ入りました。現場の生を肌で感じた瞬間でした。

③播州織の魅力、産地の魅力

播州織は、とてもしっかりした生地です。シャツ地も高品質で、ビジネスシャツのスタンダードとして使われているし、日常着以上の上質さを求められるところにも出せる品質なのがいいなと思います。糸の組合せは表情が出しやすいので、立体的な表情を出せると高級感も自然に表現できる。先染め織物ならではの魅力だと思います。
産地としても、分業体制が一つの地域に集中しているのはメリットだと感じます。全員が知り合いみたいで相談しやすい。親身に教えてもらえるので、設計でミスがあったまま実験的なことをお願いしても受け入れてもらえる。そこから今までにないものが生まれることも多いので、まさに研究をしているような感覚です。

④西脇市に住んでみて感じること

西脇の人は、やさしいです。必ず話を聞いてくれて受け入れてくれます。
学生時代は一人暮らしでした。その時から自炊してましたが、時にジャンクフードばかりの生活だったのも覚えています。こちらに来てからはよく野菜を頂いたりしているので、健康に良い生活になった気がします。車を使って移動したことがなかったので「車が必要なんだ!」って新鮮でした。

⑤播州織産地に就職を希望する人へのメッセージ

ピンときたら、その現場に入っちゃうのも一つだと思います。糸をつないだり生地を並べたり、手を動かし頭を使いながら工程を見ていると「だからこれができるのか」「これを頼むのは無理なのか」ということがわかります。それがわかれば、デザインに反映できるんです。ものづくりの現場に入って、学びながらつくりたい人には向いている場所だと思いますよ。

佐藤 健(さとう たけし) 仕事風景

播州織総合素材展2017 出展企業